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睡眠時無呼吸症候群 SAS

内科合併症とメタボリック症候群

眠っている間に必殺仕事人がやってくる?

 
睡眠時無呼吸は寝ている間に必殺仕事人がコッソリ障子を開け濡れタオルを60秒近く、顔に押し当てていくのと同じです。しかも酷いときには一時間に30回以上も、濡れタオルを被せにやってくるのですから、其のストレスは大変なものです。又ぬれタオルを被せられて血圧が一時的に高くならないわけがありません(交感神経の緊張などによる夜間高血圧)。
 
健常な人に見られる血圧の日内変動は、日中に高く夜間に低値を示しますが睡眠時無呼吸症候群の患者さんは睡眠中に血圧の低下を認めなかったり、日中より更に高値を示します。夜間の頻回に繰り返される交感神経のの緊張によりこれらが昼間にも持ち越され昼間の高血圧との関連も指摘されています。
 
睡眠時無呼吸症候群の治療により夜間の血圧上昇のみならず、昼間の高血圧も是正されます。このため降圧剤を服用している未治療の睡眠時無呼吸症候群の患者さんが治療を開始するときは、過度の血圧低下に注意する必要があります。
 
このように夜間の交感神経の活動が盛んであったり、夜間にストレスホルモンが過剰に分泌されると
インスリンに対する感受性が低下し(インスリン抵抗性)、インスリンが不足して血糖が高い糖尿病と類似の状態となります。
 

睡眠不足が肥満を呼ぶ-肥満が睡眠不足を呼ぶ

睡眠不足は、肥満になる−。米コロンビア大学やスタンフォード大学などが、健康調査(疫学調査)をもとに、相次いでこう発表して、世界のビジネスマンを驚かせました。
コロンビア大学の場合、約1万8000人(32−59歳)のデータを分析し、睡眠が7−9時間の人にくらべて、4時間の人は73%も肥満になりやすかったといいます。
  
肥満 いびき関係図 もともと肥満は、体脂肪が過剰に蓄積された状態を言い、それはエネルギーを必要以上に摂取するか(食べ過ぎ)、逆にエネルギーの消費が少ない(運動不足)のために起こります。余ったエネルギーは脂肪としてたまり、高脂血症になりやすくなります。
そのエネルギーの出し入れに食欲が関係し、さらに食欲を2つのホルモンがコントロールする、というのです。
グレリンは1999年に発見されました。
このホルモンは胃から空腹時、食事の直前に分泌され、食欲をかき立ます。
 一方、レプチンは、「脂肪細胞から分泌され、『もう食べなくてもいい』という信号を脳に送る」。食欲を抑えると共に、エネルギーの消費を高める働きがあります。2つには相反する働きがあるわけです。
 
 ふつう2つのホルモンがバランスを取り、肥満を防ぎますが、睡眠不足になると、なぜかレプチンが利かなくなり、バランスがくずれてしまうといわれています。
 その証明は今後の課題ですが、レプチンが利きにくくなれば、食欲が抑えられないだけではなく、エネルギーの消費を高めることもできず、グレリンの独り勝ちで太るということになり、高脂血症へと発展します。
 
睡眠時無呼吸による睡眠不足は肥満を起こし、肥満だと睡眠時無呼吸症候群にかかりやすくなる。
 つまり、睡眠不足(睡眠時無呼吸症候群)が肥満を呼び、肥満が睡眠不足(睡眠時無呼吸)を呼ぶ、泥沼状態でしょうか

 

睡眠時無呼吸症候群による高尿酸血症

 
睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸による低酸素によって体の細胞がこわされ、細胞核からの核酸が血中に放出されて高尿酸血症が生じる、と考えられています 。
 
実際、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、一晩の尿中の尿酸排泄量が増加しており、尿酸が夜間にたくさん作られていると思われます。また、CPAP治療を行って低酸素を防いだ晩では、尿酸排泄量が減少していたという報告があり、適切な治療の重要性がここでも伺えます。
睡眠時無呼吸症候群が原因によって起こったの高血圧、糖尿病、高脂血症、痛風は、動脈硬化を更に悪化させ心筋梗塞、脳血管障害などの発生率を非常に高くします。
 

メタボリックシンドローム

 
肥満、高脂血症、糖尿病、高血圧といった生活習慣病そのものも動脈硬化や心筋梗塞などの死を招く疾患を促進させます。ごく軽症時のこれらの疾患肥満、高脂血症、糖尿病、高血圧はおもに早期の段階で、一つ一つの疾病としてはそれほど身体にダメージを与えません。
肥満でありながら高脂血症、糖尿病、高血圧などを複数併せ持つ状態メタボリック・シンドロームと呼ばれ、急速に動脈硬化を進行させることがわかっています。
最近の生活変化から元来日本人には少ないとされてきた肥満による睡眠時無呼吸症候群が増加してくる可能性があること、睡眠時無呼吸症候群も心筋梗塞、脳血管障害による死亡率を高めることで、肥満と関係の深いメタボリックシンドローム睡眠時無呼吸症候群と関連づけて注目されています。どうやらメタボリックシンドロームの肥満が睡眠時無呼吸を悪化させ、睡眠時無呼吸が更にメタボリックシンドローム悪化させる悪性循環が存在するようです。
 

「死の四重奏 deadly quartet 」

 
洋ナシ型肥満 リンゴ型肥満 メタボリック・シンドロームの人は40歳以上の人では3人に1人ともいわれています。
特に肥満ぎみの人は要注意です。
4つすべての冠動脈疾患リスクファクター肥満、高脂血症、糖尿病、高血圧を持つ死の四重奏 deadly quartet 」患者は非常に危険で16%に上るという報告もあります。
  日本の企業労働者12万人の調査では、軽症であっても「肥満」、「高血圧」、「高血糖」、「高トリグリセリド(中性脂肪)血症」、または「高コレステロール血症」の危険因子を1つ持つ人は心臓病の発症リスクが5倍、2つ持つ人は10倍、3〜4つ併せ持つ人ではなんと31倍にもなることがわかりました。
メタボリックシンドロームの患者様を診察するにあたっては、メタボリックシンドロームが原因で睡眠時無呼吸症候群になったのでは? 又鼾などをかいている人はメタボリックシンドロームを悪化させるのではないかと考慮しながら診察する必要があります。

ちなみに死の四重奏に喫煙が加われば死の五重奏といいます。更に之に睡眠時無呼吸症候群が加われば?怖いですね!


 
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