星野耳鼻咽喉科内科 睡眠呼吸センター

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睡眠時無呼吸症候群 SAS

鼾(いびき)を考える

 

鼻+干=鼾?


 人のいびきは気になるけれども、自分のいびきは気にならない。
そう言えば枕を投げられた覚えは在るけれども、心には覚えなく、相手の怒りの気持ちがよく判らない。とかくいびきは揉め事の種。
 
いびきが原因で別れた夫婦もいるぐらい深刻な問題です。
こんなにどうしようもなく腹が立つのに、相手が何とかしてくれないのなら、こちらだって黙っちゃいないと思うほどに深刻。でも枕を投げたりしても、相手は平気。また直ぐ寝るし。
 
工場の騒音ならそれなりに、苦情処理のために打つ手はあるんですが。
工場の騒音よりたちが悪いんですよね。 時にいびきをかくと、相手に迷惑がかかると、思って眠れない御仁もいるんですが。
  いびきをかかれるほうは、そういう人がいるだけで、うわさでは相当にうるさいと聞いているので、相手がいびきをかかないうちに早く寝なければ・・・・・と思うだけでまた眠れない。
 
 なが〜〜〜〜〜〜いい、なが〜〜〜〜〜〜いい、お付き合いかと思うだけで、辛い夜は はたまた辛くなる。
 
 白夜に住みたい。
 
 隣でまだ寝ていないあなた。 うるさいかも判らないけれども、二人だけの秘密があるんです。
眠れないあなたしか判らない秘密が。

いびきの語源


 いびき
は、平安時代の漢和字書「新撰字鏡(しんせんじきょう)」にも見られる古い言葉です。

いびきの語源は、「息吹(いぶき)」という語があるため、「息」を「い」と読み、「息引き」「息響き」からとする説が最も多いようです。
また、漢字では鼻を干す、と書いて“いびき(鼾)”と書きます。
 
“漢字源”によればイビキの音が“干[ハン]”という音に似ているための擬声語らしく、特に深い意味はないようです。
 
いびきをよくかいている人は、一見気持ちよく深く眠っているようには見えますが、本当のところは、睡眠は決して深くはないのです。
 
「白河を夜舟で渡る高いびき」は、鼾をかくほど熟睡していて前後不覚、記憶がまったくないことと、昔から豪傑の証で図太い神経の持ち主のように誤解されてきましたが、この方も実際は睡眠不足なのです。
 鼾の音を何とかしてくださいと受診する患者様の鼾を治しますと、よく眠れるようになったといわれます。
 
ところで、鼾がうるさいと耳鼻咽喉科に行ってきなさいと言っている奥様も口に鼻と書いてかかあ(嚊)と呼びます。
なぜ「口へん」に「鼻」と書いて"かかあ"と読むのか。かあちゃんは、口を大きく開いてイビキをかく姿からきているらしいんですが(余談です)。

 

鼾をかく者は夜聡(さと)し?


鼾だけなら迷惑で済むのですが、いびきをかく人のうち、なんと半数以上の人が睡眠中に吸が止まってしまった状態になっているのです。
 
この状態を我々医師は、「睡眠時無呼吸」と呼んでいます。
 つまり、睡眠中に生きているのに息を吸っていない瞬間(10秒から1分近く)があり、知らぬ間に酸欠になってしまっているわけです。
 
「鼾をかく者は夜聡(さと)し」というのがありますが、医学的な説明をすれば、いびきをかいて寝ている人の睡眠は浅い睡眠なので、いびきをかいて眠る者は直ぐに目を覚まして行動に移れることらしいのです。
鼾をかいて睡眠不足の酸素不足、果たして聡しく行動できるのでしょうか?
 

豪傑もかく鼾(いびき)

 
豪傑もかく鼾とは睡眠中に発生する異常な呼吸音で、多かれ少なかれ鼻呼吸が障害されています(上気道が狭窄もしくは閉塞しています)。
ここではわかりやすくするため、鼾を訴える患者様を、大きく2群に分けます。
最近の医学では睡眠時無呼吸症候群という言葉が大きく取り上げられ、少し時代遅れですが
 
  1) 単純鼾症 ・鼾だけで健康を損なう睡眠時の呼吸障害をあまり伴わない
患者様の傍で眠る人に対する迷惑、苦情。
それにより本人も眠れないことあり(AHIは許容範囲内)−音に対する治療
 
  2) 睡眠時低呼吸、無呼吸症 ・鼾をかき、睡眠時の呼吸障害を伴うー睡眠時無呼吸症候群ともいう(AHI 許容範囲を超える)
・患者様の肉体に対する呼吸障害の悪影響を考えて診断治療する必要あり
 
1)と2)を併せ
て最近では睡眠呼吸障害Sleep breathing disorder(SBD)と表現します。
多くのいびきの患者様の中の何人かが睡眠時無呼吸症候群の患者様なわけです。
言い換えれば、鼾を掻かない睡眠時無呼吸症候群は特殊な場合を除いてありません。
  ※AHI:睡眠1時間中に発注する無呼吸低呼吸の数

いびき・低呼吸・無呼吸の関係
いびき・睡眠時無呼吸症候群の関係

いびきの分類

 
前大阪医大教授 高橋先生の説明はすごく判りやすいので引用させていただきます。
治療をする上で混乱を招かないように、次のように鼾を分類されています。
  1) かすかな、静かないびき。   呼吸は規則的で上気道に多少の狭窄はあるが本人にも他人にも無害
 
  2)大きな振動型鼾をかくが呼吸は規則的。   本人には無害だが傍にいる人を困らせる
将来睡眠時無呼吸に発展する可能性あり。
 
  3)狭窄型鼾で呼吸は不規則。   低呼吸、無呼吸あり。傍にいる人を困らせる
呼吸障害軽微なため本人には自覚症状はほとんど無い
 
  4) 狭窄型鼾で呼吸は不規則。   高度の低呼吸、無呼吸あり。
呼吸障害による夜間中途覚醒があり昼間傾眠あり
全身疾患の原因とはなっていない。
 
  5) 高度な狭窄型鼾で呼吸は不規則。   さらに高度な低呼吸、無呼吸、昼間傾眠あり
高血圧など全身疾患が起こっている。
 
  6)5)がさらに酷い   それによる種種の全身症状のため通常の日常生活ができない
 
 
4)〜6) までは睡眠時無呼吸症候群として本人の体のためにも治療が必要。
1)2) 単純鼾症にほぼ該当。
3) ほぼ中間で睡眠時無呼吸症候群の治療の中ではなかなか取り上げてもらえない。
 
1)〜3) で鼾で悩んでおられる方は非常に多い 
   例えば
    ・ 家庭内別居−最悪離婚の原因に−
       酷くなっても別居中で奥様も無呼吸に気づかない・・・可哀相なお父さん
    ・ 旅行が好きだけど恥ずかしくて行けない中年女性
    ・ 同僚に迷惑をかけるのが厭なまじめな男性社員
    ・ 鼾がひどく入院は個室でといつも悩んでおられる患者さん
 
どれも深刻な悩みですが 医師が直せる限り、高橋先生の仰る通りりっぱな病気です。
 
いびき音だけの場合も、鼾音を伴う睡眠時無呼吸症候群も、上気道が狭くなることには変わりなく
診断や治療の考え方は基本的には同じと考えてください。
 
鼾の患者様の中から、睡眠時無呼吸症候群の患者さんを見つけ出し、
睡眠時呼吸症候群だけの治療を行うのではなく、
内科的な治療であるCPAPが適応でない(AHIが20以下) いびきを持った患者様の
悩みを解決するのも大切なことです。
 
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